エコキュートのヒートポンプとは?構造や仕組み、故障の症状を解説

ヒートポンプはエコキュートの要となる重要な機器です。その構造やお湯を沸かす仕組みを理解することで「なぜエコキュートが低コストでお湯を作れるのか」が見えてくるでしょう。
本記事では、ヒートポンプの構造やお湯を作る仕組みについて詳しく解説します。さらに、エコキュートのヒートポンプに関するよくある質問もまとめています。
エコキュートの省エネ効果の仕組みを知りたい方や、給湯器の故障やメンテナンスに関する知識を深めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
エコキュートのヒートポンプの構造

ヒートポンプは、エコキュートの心臓部といえる主要装置です。熱を汲み上げる技術で空気中の熱を取り込み、内部で移動・変換することで、お湯を温めるための熱エネルギーを作り出します。沸き上げには電気エネルギーも必要ですが、お湯を沸かすための熱は空気から集めているため、少ない電力で高効率な運転が可能です。
このヒートポンプ技術は、エコキュートのほかに冷蔵庫やエアコンなどにも使用されています。ヒートポンプのなかにどのような機器が組み込まれ、各機器がどのような役割を担っているのか、ヒートポンプの構造を以下にまとめました。
| 名称 | 役割 |
|---|---|
| 冷媒 | ・熱を運ぶ媒体 ・低温の冷媒(CO2)を使い、空気の熱を吸収させる |
| 空気熱交換器 | ・空気の熱を、冷媒へ移動させる装置 |
| 圧縮機(コンプレッサー) | ・高い圧力をかけて冷媒を圧縮する装置 ・冷媒は圧縮されて高温になる |
| 水熱交換器 | ・高温の冷媒の熱を水に移動させる装置 |
| 膨張弁 | ・冷媒を膨張させ温度を下げる ・冷媒はまた熱を受け取れるようになる |
ヒートポンプの内部は、これら5つの装置によって構成されています。
ヒートポンプの種類

エコキュートのヒートポンプには「圧縮式ヒートポンプ」と「吸収式ヒートポンプ」の2種類があります。なお、一般的には「圧縮式ヒートポンプ」のほうが家庭では使用されています。ここでは、それぞれの特徴や仕組みを詳しく解説します。
圧縮式ヒートポンプ
気体は圧縮により温度が上がり、膨張により温度が下がる性質を持っています。この性質を利用して熱を作るのが圧縮式ヒートポンプです。
圧縮式ヒートポンプ内では、まず自然冷媒(CO₂)を膨張させて温度を下げます。こうすることで外気よりも低温になり、空気中の熱を効率良く吸収できるようになります。
外気の熱を吸収すると冷媒は蒸発して気体になり、強力な圧縮機(コンプレッサー)で一気に圧縮されて高温状態に変化します。その後、高温になった冷媒の熱を熱交換器で水に伝えることで、お湯を沸かす仕組みです。熱を放出した冷媒は再び膨張して低温に戻り、次の熱吸収サイクルへと移行します。
このように、空気中の熱をポンプのように汲み上げてお湯を作るのが圧縮式ヒートポンプの基本原理です。投入した電気エネルギーはおもに冷媒の圧縮・循環に使われ、空気中の熱を効率良く活用することで高い省エネ性能を実現しています。
吸収式ヒートポンプ
吸収式ヒートポンプは、おもに蒸気や高温水、ガス燃焼などの熱エネルギーを利用して冷媒を循環させる方式です。この方式では、冷媒である水を臭化リチウム水溶液などの吸収剤に吸収させ、再生・分離させてお湯を作ります。
冷媒はまず蒸発器で熱を奪って蒸発し、冷媒蒸気となります。この蒸気が吸収剤の入った吸収器に吸収され、再生器に送られて外部の熱エネルギー(高温水やガス)で温められることで、冷媒と吸収剤が分離します。そして、分離された冷媒蒸気が凝縮器で液体に戻る際に放出する熱を利用し、お湯を沸かすのが吸収式ヒートポンプの仕組みです。
吸収式は、冷媒の循環に電気をほとんど使わず、熱源と吸収剤の特性を活用するため、電力消費量が少ないのが特徴です。
自然の熱を使うためヒートポンプは省エネ性が高い

ガス給湯器はガスを燃焼させて熱を生み出し、ヒーター式電気温水器は電気を使って熱エネルギーを作り出します。これに対し、エコキュートは燃料を必要とせず、空気中にある熱エネルギーを利用してお湯を沸かす技術です。
エコキュートが使用する電気の多くは、お湯を直接加熱するためではなくヒートポンプを動かすために使われています。
例えばヒーター式電気温水器の場合、「1」の電気エネルギーで「1」の熱エネルギー(効果)しか得られません。一方、エコキュートのヒートポンプでは、「1」の電力で大気から「2以上」の熱エネルギーを獲得でき、合わせて「3以上」の熱エネルギー(給湯効果)を得られます。つまり、ヒーター式電気温水器の3倍以上の給湯効果を得られるイメージです。
このように、エコキュートは自然の熱を有効活用する仕組みのため、CO2排出量の削減にも寄与します。また、省エネ効果によって電気代の負担を軽減できる点も魅力です。
エコキュートのヒートポンプに関するよくある質問

エコキュートのヒートポンプ周辺には障害物を置かない、騒音対策が必要など、設置面で注意すべき点がいくつかあります。長く快適に使用するには、定期的なメンテナンスも欠かせません。
ここからは、エコキュートのヒートポンプに関する、よくある質問と回答を紹介します。
エコキュートのヒートポンプの寿命はどのくらいなのか?
エコキュートのヒートポンプの寿命は、一般的に10年程度といわれています。これはメーカーの部品供給期間や保証体制にも連動しており、設計上の目安として10年を過ぎると故障や修理の頻度が高まる傾向があります。
寿命が近づくと「エラーコードが頻繁に表示される」「お湯が沸くまでに時間がかかる」「お湯の温度が不安定になる」などの症状が現れます。こうした症状が見られた場合は、早めに交換したほうがよいでしょう。
なお、定期的なメンテナンスを行えば、寿命を延ばせる可能性があります。
ヒートポンプの周りに物は置かないほうがいいのか?
ヒートポンプの周辺に物がある場合は、取り除くまたは別の場所に移動させることが大切です。ヒートポンプの周りに通風の妨げとなる物があると、スムーズに空気を取り込めず、熱交換効率が下がります。
また、雑草などもできるだけ取り除くようにしましょう。空気の流れを妨げるだけでなく、伸びた雑草がヒートポンプ内に入り込み、故障の原因になることがあります。
ヒートポンプの動作音が騒音の原因になるのか?
ヒートポンプの動作音は、騒音の原因になることがあります。
ヒートポンプから出る音は「低周波音」と呼ばれるもので、普段はそこまで気になることはないでしょう。しかし、夜の人通りが少ない静かな住宅街で使用する場合などには、日中は気にならないヒートポンプの音が気になることは考えられます。
また、人によっては頭痛や不眠などの体調不良に陥るケースもあります。もちろんすべての人が影響を受けるわけではありませんが、隣家との距離が近い住宅環境では、設置場所や向きに配慮しましょう。
「ヒートポンプはできるだけ隣家と離す」「防音シートを張る」といった対策によって、一定の騒音防止効果が期待できます。特に防音シートはホームセンターなどでも販売されているため、エコキュート設置後でも簡単に対策が可能です。
防音対策が必要かや、自宅のエコキュートにはどのような対策が有効か、自分で判断するのが難しい場合は専門家に相談してみるのもよいでしょう。
ヒートポンプのメンテナンスは必要なのか?
ヒートポンプには定期的なメンテナンスが必要です。
先述のとおり、メンテナンスを行うことで、長く安定して使用できる可能性が高まります。また、異常の早期発見にもつながり、故障によってエコキュートが突然使用できなくなる事態も防げるでしょう。
さらに、故障状況によっては異音が発生して、近隣への騒音問題につながる可能性もあります。そのため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
以下のようなセルフメンテナンスや、異音がしていないかの確認を年に2回~3回程度行うようにしましょう。
・ヒートポンプユニットの水抜き栓を開いて空気抜きをする
・貯湯タンクの水を抜く
・浴槽のフィルターや給水口ストレーナーの掃除
そして、数年に1回程度は専門家による定期点検を受けておくと、さらに安心感が高まります。
寒い地域でもエコキュートはお得なのか?
エコキュートのヒートポンプは自然の熱を利用するため、寒い地域では効率が落ちることがあります。しかし、寒冷地か一般地かに関係なく、従来のガス給湯器などと比較するとランニングコストを抑えて効率的にお湯を作ることが可能です。
ヒートポンプは温度差による直接的な熱だけでなく、気化熱や凝結熱も利用しています。そのため、最低気温が-10度を下回る地域でも熱を取り出し、少ない電力でお湯を沸かすことが可能です。
一方で、寒冷地では冬場の凍結リスクがあるため、寒冷地仕様のエコキュートを選ぶことが推奨されます。寒冷地仕様のエコキュートは「配管の断熱強化」「凍結防止ヒーター搭載」「制御プログラムの工夫」などの対策が施されているため、冬場に氷点下を下回るような地域でも安心して利用できます。
なお、沿岸部向けには耐塩害地仕様のエコキュートが用意されています。お住まいの地域に合わせたエコキュートを選べば、凍結や塩害による故障を心配することなく、安定的に利用可能です。
ヒートポンプの仕組みを理解しエコキュート選びに役立てましょう
ヒートポンプは空気中の熱を取り出してお湯を作る、エコな給湯システムです。寒冷地でも問題なく稼働し、少ない電気エネルギーで効率良くお湯を沸かすことが可能です。一般的に、寿命は10年程度とされていますが、定期的なメンテナンスでさらに長持ちさせることもできます。
ヒートポンプは、まさにエコキュートの心臓部です。万が一自分では対応できない不具合が発生した場合は、早めに修理を依頼しましょう。
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